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高強度インターバルトレーニング/HIIT(High Intensity Interval Training)について①

 前回のブログの最後に、一気に糖を使う能力を鍛えるには、血中乳酸濃度が大きく上がるOBLA(>4mmol/L)ペースでの、高強度トレーニングが重要であり、レースペースの練習だけでなく、“レースよりもかなり速いペースでの練習も織り交ぜる”こと、そのためには「糖をたくさん利用する“高強度のインタバルトレーニング/HIIT”が重要になってきます」とお話しました

 

まず初めに、高強度インターバルトレーニング/HIIT (※以下HIIT)とはどんなものなのか? HIITの種類をいくつかあげてみます。

HIITには明確な定義はありませんが、概ね以下のようなものがあげられます。

    90-100%VO2maxで数分間の運動を繰り返すもの

例:6×4分@90-100%VO2max ; ○○秒レスト

    数十秒の全力運動(or 全力に近い運動)を長い休息を挟み繰り返すもの(SIT)

例:4-6×3045秒全力スプリント;4-5分レスト

    タバタ・プロトコル  

例: 6-8×20秒@170%VO2max10秒レスト

    数秒~十数秒の全力スプリントを短い休息を挟み繰り返すもの(RST)

例: 5-10×310秒全力スプリント;24秒レスト

※④はHIITに入れないこともあります。

 

①②③は、主にVO2maxを高め、持久性運動パフォーマンスを向上させる目的で行われることが多く、特に①の方法は陸上競技(長距離)では“インターバルトレーニング”と言われているもので、よく取り入れられる方法です。

④の方法は、繰り返しスプリントトレーニング(Repeated Sprint trainingRST)と呼ばれます。この方法は主に球技スポーツのアスリートが、繰り返しのスプリント能力を高める目的で用いられます。

 

また、HIITというと単に①の方法を指すことも多く、②の方法はスプリントインターバルトレーニング(SIT)、③の方法はタバタ・プロトコルというように区別することもあります。

HIITは、心肺機能や代謝能力を効果的に高めるトレーニング手法として、多くの持久性アスリートに古くから取り入れられています。また、近年の研究では、アスリートの運動パフォーマンス向上のみならず、一般人の健康維持・増進にも寄与することも分かっています。

さて、ここからが今回の本題になります。ここでは①の方法を中心に説明をしていきます。

HIITの効果を左右する重要な要素とは、いったい何になるのでしょうか?

 

結論から言うと、「レスト(ジョグ等の緩運動)の強度や時間にトレーニングの効果が左右されます」

それでは現段階で判っている研究結果より、HIITを行う際の注意点をあげてみます。

 

○過度に休息を短くしても、主観的にツラくなるだけで生理学的なトレーニング刺激(心肺への刺激)は増加しない

○過度に休息を短くすると、運動強度(ペース)が保てなくなり力学的なトレーニング刺激が減弱する

○トレーニング効果を最大化するためにHIITでは、しっかり休んだ方が良い

(運動と休息の時間/運動休息比が大切である)

といった内容が挙げられます。

 

HIITをより効果的に実施する際に、よく「どれくらいの強度で、どのくらいの時間走るか」が注力されます。

※ツライ方が効果的なような気がする?

HIITを始めとするインターバル運動は、運動強度の高い主運動(高速のランニングやダッシュ等)と運動強度の低い緩運動(ジョギングやウォーキングなど)を繰り返します。そこで、「どれくらいの強度で、どのくらいの時間走るか」というのは、主運動の運動強度と時間を指すことが多くありますが、ここで見落としがちなのが、レスト(緩運動)の運動強度や時間です。このレストの時間が、HIITを始めとする“インターバルトレーニングの効果を左右する重要な要素”になります。

次回は、このHIITのレストの時間”について説明をしていきます。