前回のブログでは、HIITを行っている際のレストの時間が、HIITを始めとする“インターバルトレーニングの効果を左右する重要な要素”になります。と説明をしました。
今回は、特にHIITのレスト(ジョグ等の緩運動)の時間、つまり“どれくらい休むべきか”について考察した研究があります(Schoenmakers and Reed , 2018)。
こちらの研究を参考にお話を進めていきましょう。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30297216/
先ずHIITを行おうとする際に、より短い休息時間を選択しようとする場面をよく見かけますが、その背景にあるのは、“高い心拍数や酸素摂取量(換気量)で、より長い時間心肺に負荷をかける”といった試みです。
これは心拍数や酸素摂取量が、最大に近くに高まった状態を長時間維持すると、心肺は長時間フル稼働することになり、結果的に心肺機能が高まるという考えになります。
この研究では、6×4分のインターバル走を異なる休息時間(1分, 2分, 3分 or 自由選択)で行ったときの生理学的刺激(90-95%VO2max,HRmaxの時間)と、力学的刺激(走速度)の関係について検討しています。
http://repository.essex.ac.uk/23167/1/schoenamkers%20JSMS%202018%20accepted%20version.pdf
結果は、3分レスト群では走速度が最も速く、力学的なストレスを高めることが出来ています。また1分レスト群では4-6本目でのRPE(主観的運動強度)が他の群より最も高く、一番ツラく感じる群になっています。
一方、自由選択群は6本を平均して100±34秒のレストを取っています。
この研究ではHIITを行なっている際に、過度に休息時間を短くすると、ツラさが増すばかりで、トレーニング刺激(生理学的刺激&力学的刺激)はそれほど高まらずに、HIITの効果が得られにくいものになっています。
要約すると「休息を過度に短くしたら、心肺への生理的な負荷が高まらないだけでなく、さらに走速度が低下することで力学的負荷が減弱し、その結果トレーニング効果が下がる恐れがある」と述べられています。
こういった研究は幾つか存在し、初級者から中級者までは同様の結果がみられ、先に述べたように、過度に短いレストは生理学的刺激を増大させずに、一方で力学的刺激が減弱するという結果になっています(Laurent et al, 2014)。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23838976/
しかしエリート選手を対象とした研究結果は、十分な休息に必要な時間は多少異なり、2分の休息でも十分に回復できると考察しています( Seiler and Hetlelid, 2005)。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16177614/
HIITでは、適切な運動と休息のバランスを設定するために、運動休息比という考えがあります。運動休息比は単純に、主運動の時間と緩運動の時間(レスト)の比で表されます。例えば、4分運動/2分休息なら運動休息比は2:1となり、4分運動/4分休息なら運動休息比は1:1ということになります。一般に、HITTの運動休息比は2:1~1:1程度で行うことが推奨されていますが、HIIT運動中に“どの程度休息すべきか”は個人の競技レベルによって異なってきます。
また、これらの研究から考えると6×4分のHIITでは3分のレストを取ることによって、「生理学的ストレスと力学的ストレスを高めることができ、より高いトレーニング効果を得られる可能性がある」と考えられます。
この結果から観ると、トレーニング効果を最大化するために、上級者以外の多くの競技者は運動休息比1:1前後を目安としてHIITをスタートさせ、競技レベルの向上とともに、運動休息比のバランスを変えていくことが推奨されます。
参考までに、私がアンバサダーやコーチを務めさせていただいている“GARMIN”のGPSウォッチであれば、心拍数や距離はもちろん、RDポッドやHRM-Proによる「ランニングダイナミクス」や「乳酸閾値」の計測、Garmin Labs提供のアプリによる「ランニングパワー」の計測が可能なので(対応機種のみ)、客観的な生理学的指標としての「心拍数・HR%/max」、力学的指標としての「パワー/Watts」などのデータを目安に、トレーニングの質を維持することが可能になり、パフォーマンスの向上につながっていくものと思われます。
自身のパフォーマンスを上げていくための一つの要素として、トレーニングの質(クオリオティ)を見直していくことも大切なことです。
“GARMIN”のGPSウォッチの機能をフルに活用できていない方、またトレーニングを頑張っているけど...伸び悩み、頭打ちなどを感じている方、一度、客観的に自分自身を分析してみてはいかがでしょうか?